夢見るような展開のドラマを見ても、近頃はなんだかむなしい。だって現実にはこんなすてきなこと起こらないもの。恋愛・結婚・キャリア・子育て……悩める私たちの特効薬は、そう、リアリティー・ショー! 特殊な設定、多少の演出はあるとはいえ、そこで繰り広げられる人間関係、愛憎劇はホンモノ。現実世界に即・応用できちゃいます。今回は、忘れられない彼と復縁したいあなたに「ラブ トランジット」(Amazon Prime Video)をおすすめ!
恋というのは不思議なもので、「もうムリ」「一人でいたほうがマシ」と思って別れたのに、いざ一人になってみると、じわじわと彼とのいい思い出が胸を締め付けてくる。新しい出会いがあっても、つい彼と比べてしまい、乗り気になれない。「脳内で美化しちゃってるだけ」と自分に言い聞かせるけれど、失って初めて気づいた彼の優しさや深い愛情があるのも事実。復縁したい――。そう思ったあなたにおすすめしたいのが「ラブ トランジット」だ。
「ラブ トランジット」は5組の元カップルがそれぞれの元恋人(=X)が誰かを伏せたまま、1カ月のホカンス(ホテルでバカンス)生活を送るという恋愛リアリティーショー。最終日に次の恋の相手を選び告白。それは新たな相手か、それともXか――? 復縁したい人、新しい恋を探しにきた人など思いも温度感も異なる10人が、過去と今の恋愛のはざまで揺れ動く。ここでは、美容看護師・えりにスポットを当てて、復縁のヒントを探っていこう。
元カレが目の前で次の恋を……
5組の男女が集められた初日の夜、自己紹介の代わりに、それぞれのXが書いた元カレ・元カノ紹介を読みあげることに。えりのXが書いたのは、「彼女自身はちょっぴり自信がないところもあるようでしたが、近くで見ていた自分からはそんなことはなく、人としても魅力がたくさん詰まっているのでもっともっと羽ばたくべきだと昔も今も思っています」という優しい激励の言葉だった。「ほんとうにちゃんと好きでいてくれたんだな」と、涙で読めなくなってしまうえり。
ここで、えりのXが明かされる。それはキャンドル・アーティストのマサシ。二人は交際期間3年半。別れて11カ月の元カップルだった。ホカンス開始前に二人で再会したとき、えりは「美術館とかさ、インビテーションもらったりとかさ、誘いたいなって思う人がマサシだとなんか切ない、ってなる。写真とか振り返ってこんな感じで行ける人この先いるのかなって思うとちょっと涙ぐむ」と語る。わかる!わかるよ!えり!
そしてスライドショーで仲睦まじかった頃の二人の写真や動画が流されて……なにこれ、むちゃくちゃ切ない(涙)。
それなのに……。
初日の他己紹介が終わり、参加者がそれぞれの部屋に戻ったあと「あなたの次の恋のお相手にもっとも近いと思う方に匿名でメッセージを送ってください」との指示が。もちろんマサシに送るえり。が、えりにはメールが1通も来ない。マサシはアパレルディレクターのあみに「少しだけど話せてよかったです」と送っていたのだ。
マサシ―ッ!
ちなみに、えりも可愛いけれど、あみも相当可愛いし、えりよりちょっとだけ若い。
マサシ―ッ!
だけどこれが現実。自分には戻りたい恋でも相手にとってもそうであるとは限らない。しかし、ここからが勝負どころだ。えりのその後の行動から3つの復縁へのヒントが見えてきた。
復縁へのヒント① 居心地の良さ
馴染んだ恋より、新しい恋の方がそりゃあ刺激があって、ワクワクするに決まってる。そこに勝つには、刺激とは逆の、「癒やし」「安心」「安定」をアピールすること。
たとえば、たこやきパーティでの一幕。重度の卵アレルギーで、小麦粉も最近食べられるようになったというマサシは、みんなが盛り上がるなか、テーブルから身を少し引いてそれを見ている。そこに帰ってきたえりが、「みんなにお土産買ってきたよ。マサシも食べれます!」と米粉パンをニコニコの笑顔で取り出すのだ。えり……!
そのほかにも、集合写真を撮る時に人見知りのマサシに隣にくるよう声を掛けるなど、マサシの人となりを熟知しているからこそできるさりげない気遣いに、だんだんマサシの心も動かされて……?
復縁へのヒント② 過去からの変化
復縁するとき、ネックになるのが「一度別れを選択した」という過去。Xに復縁したいと言われても「また同じことの繰り返しになるのでは」と二の足を踏む人が多かった。別れには必ず理由がある。それをもう一度見つめ直し、そこから変わろうとする姿を見せることが大切だ。
たとえば、えりはマサシにゴルフで勝負を挑み、なんでもひとつ質問できる権利を勝ち取る。そこでえりは「ここ1週間で私の印象って変わった?」と質問する。するとマサシは「あんまり変わってないかも」と言い、別れの原因を語りはじめる。別れの原因をほじくり返すのは辛いし、復縁したい身にとっては怖いことだけれど、ここでマサシの本音にしっかり向き合ったことが、えりの転機となったのだ。
復縁へのヒント③ ひとりよがりにならない
ネタバレになってしまうので、詳しくは書かないけれど、今回復縁できなかった人に焦点を当てた時、「ひとりよがり」という言葉が見えてくる。一途に相手を思う気持ちは素晴らしいけれど、ただそれを相手の状況も考えないでぶつけるのは違う。
あみに惹かれていくマサシに対し、えりは手紙を書いて気持ちを伝える。
「心から本当に素敵だったところをたくさん知っているので、どんな選択をするかわからないけど、だからこそマサシにぴったりな人と幸せになってほしいと心から私は思っています」
えりの手紙には、復縁したいという自分の気持ちの前に、好きな人に幸せになってほしい、という思いがあった。そしてその続きがさらによい。
「だけど私はマサシと向き合いたい」
マサシの幸せを願ったうえで、ちゃんと思いも伝えているのだ。復縁を願う人にとって、このあたりが大きな分かれ目となるように思う。
選択はいつも「今の幸せ」のために
その後、マサシはえりの気持ちにどう応えるのか、他の4組がどんな選択をするのか、それは見てのお楽しみ。
観終わって感じたのは、復縁したカップルは「元さやに戻った」のではなく、自分と相手が幸せでいられる「新しい恋の形を見つけた」のだということ。過去の幸せに捕らわれてそこへ戻りたいと思うのではなく、この先の自分の幸せ、そして相手の幸せのための選択が「復縁」だったのだ。自分の復縁したい気持ちに、その覚悟はあるか――そんなことも考えさせられる番組だった。
Prime Videoで独占配信中
5組の元カップルが、それぞれの元恋人(=X)を伏せたまま、ホカンス生活を送り、過去と今の恋愛に向き合う。えり、マサシ、あみのほかにも、俳優、モデル、美容師、経営者、アメフト選手と多彩なメンバーで、この中の誰と誰が元カップルなのか予想するのも楽しい。切ないシーンを映画レベルに盛り立てる、eillの歌う挿入歌にもぜひ注目を。
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