引き継がれた常勝イズムを誰に託すことができるか――。ソフトバンクのレジェンドＯＢで今季限りで現役を退いた松田宣浩氏（４０）が、盟友・柳田悠岐外野手（３５）の常勝再建への覚悟と奮闘ぶりを激賞した。
「今年のギータを見て僕は立派だと思った。本当に常勝ホークスというものを受け継いでいる」。現役ラストイヤーを巨人で過ごす中で、やはり気になる存在だった。柳田は今季９年ぶりに全試合に出場。最多安打のタイトルを獲得し、４年連続のベストナインに輝いた。「試合に出続けるってことを言い出したじゃないですか。ちょっとケガ持ちだったギータがちゃんと口にしているのが立派。ギータは分かってるんやなって思った」
松田氏は真意をこう続ける。「常勝の一番の近道は、誰がレギュラーを取るかよりも、全試合出場する選手をいかにたくさんつくるか。今年の阪神も数年前のホークスもそうだけど、固めてね、核となる選手をつくる。今年２人なら来年は３人、４人というふうに」。常勝の定義が理解できているからこそ、柳田はすでに来季の２年連続全試合出場に燃えている。そこに松田氏は「バトンを渡しきった」という安堵感を抱いた。
さかのぼれば小久保、川崎と往年のレジェンドたちがつないできた。途絶えさせるわけにはいかない常勝の系譜。今、柳田をはじめ中村晃、今宮が全身全霊でつなごうとしている。「３人はしっかり受け継いでいるんだけど、その後にしっかり受け継げていないから、この３年間勝てていないということが絶対に言える。だから、ギータはギータでしっかり次の世代、上林もいなくなって誰に受け継いでいくのかっていうのを使命感として持っている。キャプテンを果たして、次に何が大事かって言ったら、今の状況を悟って自分が試合に出続けることが大事なんかなって思って、ああいう発言をした。思っていないと言えないことだから」。
個ではなくチームのための全試合出場――。松田氏は「ギータはちゃんと分かっているし、ヒントを持っている」と過渡期の古巣に光を感じ取っている。柳田の真意、奮闘する姿に後輩たちが何を思うか。松田氏はそこに鷹の未来がかかっていると確信している。
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