Blizzard Entertainmentが開催中のファンイベント「BlizzCon 2019」で,これまで何度もウワサになっていた「オーバーウォッチ」の続編,「オーバーウォッチ 2」(PC / PS4 / Xbox One / Nintendo Switch)が正式発表された(関連記事)。ゲームディレクターのジェフ・キャプラン(Jeff Kaplan)氏と,アシスタント・ゲームディレクターのアーロン・ケラー(Aaron Keller)氏が壇上に上がるパネルディスカッションが行われ,その詳細が明らかになったので,お伝えしよう。
「オーバーウォッチ 2」は前作同様,中心にあるのはeスポーツにおいて高い人気を誇るオンライン対戦であり,「オーバーウォッチ 2」を購入していない前作のプレイヤーでも,「オーバーウォッチ 2」のすべてのヒーローとマップが楽しめる「シェア型マルチプレイ環境」が実現されている。
今回のパネルディスカッションではその点を強調するため,これまでゲーマー達が投資してきたコスメティックスや,アンロックした実績などが完全に引き継げることが念押しされている。そのうえで,まずは新たなPvPの1つとして,eスポーツシーンでも使用されることになる「プッシュ」と名付けられた新モードが紹介された。
新PvPモード,「プッシュ」
「エスコート」と「コントロール」をミックスしたような印象の「プッシュ」では,マップの中に1つしかない「バリケードマーカー」と呼ばれる重そうなアイテムを,自軍の作業ロボットに敵陣地まで運ばせることが目的となる。移動ルートの途中にはリスポーン地点となるチェックポイントがいくつかあり,マップは「コントロール」と同様,上から見て左右対称になっている。
ロボットが破壊されることもあるようで,そうなると自陣からロボットを出し,敵が運んでいるであろうバリケードマーカーのある地点へ向かわなければならないが,バリケードマーカーを押していないときのロボットは非常に軽快に移動できる。ケラー氏は,この仕組みにより敵味方に極端なアドバンテージを与えることなく速い展開の攻防戦が楽しめるほか,「マップのいろいろな地点でアクションが展開する」と話していた。そして,スピードが速く,相手の背後に回って攻撃を仕掛けられるリーパーやトレーサーのようなキャラクターの利用頻度が上がることを期待していた。
多彩なキャラクターが織り成す
「ストーリーミッション」
前作のプレイヤーも参加できる「シェア型マルチプレイ環境」なら,なぜ「ネメシス」や「リトリビュ―ション」といった大型アップデートではなく新作なのかという疑問も湧くが,その理由として,「オーバーウォッチ 2」ではPvEモードが大幅に強化されている点が挙げられた。「オーバーウォッチ」のストーリーはトレイラーなどのメディアを使って紹介されていたが,ファンの「ゲーム中にストーリーを楽しみたい」という声は大きく,それに応えたのが本作の「ストーリーミッション」と「ヒーローミッション」となる。
現段階で「オーバーウォッチ 2」の物語は,我々が良く知るものに沿った内容になっている。つまり,平和維持組織として親しまれていた組織「オーバーウォッチ」が,国連のペトリス決議案によって突然,閉鎖されることになり,そのため,タロンのような悪の組織がはびこるようになったというものだ。見かねたウィンストンが,違法とは知りながらも散っていったメンバーを集める「リコール」を行い,それに賛同したメイ(正確には,組織として存在していた時代のメンバーではなく,ただの研究者)とトレーサーが,ロンドンに続いてパリで暴動を起こしたロボット組織「ヌルセクター」(Null Sector)に対処しにいくというのが,公開されたシネマティックトレイラー,「Zero Hour」のあらましだ。
ストーリーミッションとは,固定された4人のキャラクターを使って楽しむCo-opモードで,PvPとは異なり,2人のプレイヤーが同じキャラクターを利用できないなどの制約がある。ミッションの内容としては,いくつか異なるパターンがあるとのことで,「BlizzCon 2019」では,ルシオの故郷であるリオデジャネイロのマップが用意されていた。前作で最大だったマップの2倍の広さを持つとのことで,ストーリーミッションではプレイエリアがかなり拡大するようだ。
アイテム関連はバトルロイヤルゲームにインスパイアされたという,ステーションやクレートを使うタイプのものになっている。「ヒーリングステーション」と呼ばれるヘルス回復装置が確認できたほか,通常のグレネードよりも60%高いダメージを与える「Corossive Grenade」,そして,2000HPを持ち,仲間のヒーリングなどに効果があると思われる「Barrier Fence」などのアイテムが紹介された。
「ヒーローミッション」と新たな「タレントシステム」について
「ストーリーミッション」と対をなすCo-opタイプのPvEモードが「ヒーローミッション」で,こちらは,プレイヤーがどのキャラクターを選んでもいいというルールになっている。リプレイ性の高さが特徴で,敵がウェーブ状に襲ってくる,おそらく「ホールドアウト」と名付けられたモードなど,いくつかの異なるオブジェクティブで構成されているという。
残念ながら「BlizzCon 2019」会場にヒーローミッションのプレイアブルデモは公開されていないが,トレイラーを見る限り,世界各地を飛び回ってミッションに挑戦することになるようだ。「ルート66」「トロント」「パリ」「イリオス」,そして「ブサン」など,前作でおなじみの名前がレーダーに表示されたのを見逃さなかった人もいるだろう。
ストーリーミッションとヒーローミッションでは,PvPとは異なる「タレントシステム」と呼ばれるプログレッションが用意されている。これは,プレイヤーキャラクターがLv1,Lv10,Lv20に達した時点で,用意された2つのアビリティのうち,どちらかが得られるというもので,自分のプレイスタイルに合わせたキャラクターのカスタマイズが可能になっている。
アビリティもPvPとは異なるセットになっており,公開されたスクリーンショットを見る限り,トレーサーの場合,Lv1で「Adoptive Reload」と「Chain Reaction」,Lv10で「Flash」と「Hindsight」から1つを選ぶことになるようだ。Adoptive Reloadは,ほかのアビリティを使うとパルスピストルが自動的にリロードされるというもので,うまく活用すればリロード時間が節約できる。Chain Reactionは,パルス・ボムでエリア攻撃すると,その周辺が連鎖的に爆発するというアビリティだ。
このほかにも,Co-op専用アビリティが紹介されており,鳴響矢水で探知した敵の1人に矢を当てると,その矢が探知されているほかの敵にも次々に当たるハンゾーの「Sojiro’s Guidance」,アースシャッターが全方位にわたってダメージを与えるラインハートの「Epicenter」,そして,刀で攻撃を加えたあとに緑色の覇気を発動して遠方の敵を攻撃するゲンジの「Dragon’s Breath」などの映像が公開された。
さらに,カイロフリーズのあとにもう一度相手を凍らせるメイの「Cold Snap」と,同じくメイが巨大な氷のボールになって複数の相手をなぎ倒す「Snowball Effect」が紹介されたほか,トールビョーンの,ミニガンタレットを火炎放射器として使う「Flame Thrower」に,「My Babies」というアップグレードを行うことで,小型ながらも3つの火炎放射タレットを召喚できることも説明された。このように,キャラクターのカスタマイズは前作以上に多岐にわたり,さまざまな戦術が考えられそうだ。
キャラクターデザインも新たに
「オーバーウォッチ 2」でも,トゥーンシェイダーを使ったアニメ調のグラフィックスが継承されているが,よく見ると,髪の毛の表現が細くなっていたり,肌の質感が再現されたりなど,次世代的な雰囲気を感じるものになっている。キャプラン氏は,「オーバーウォッチとして活躍していた頃から,少し時間が経過したことを表現している」と述べており,例えばラインハートは荒れた生活を送っていたらしい容貌になっているし,ゲンジの衣装も違っている。
すべてのキャラクターのインタフェースデザインも新しくなっていたが,今後,プレイテストなどを繰り返して改良されていく予定だ。
どのキャラクターも,パッと見で誰なのか判断できないほど変化したわけではないが,ラインハートがヘルメットを脱いでいたり,トールビョーンと一緒に暮らすようになったバスティオンがトールビョーンにもらった帽子をかぶっていたりなど,物語に沿うようにデザインが変わっている。キャプラン氏とケリー氏は声を揃えて,「モイラを見たらビックリするよ」と語っており,今後の発表に期待できそうだ。
「オーバーウォッチ 2」には複数の新キャラクターが登場するが,その1人として公開されたのが,アフリカ系カナダ人のソジョーン(Sojourn)だ。シリーズファンにとっておなじみの隠れキャラクターで,2016年に公開されたウィンストンのトレイラー「Recall」や,期間限定イベントの「ストーム・ライジング」などに,ちょくちょく顔を出している。オーバーウォッチ在籍時にはジャック・モリソン直属の隊長として,ラインハートの大怪我で責任を感じるジャックのサポートを行い,ドゥームフィストを追い詰めたこともあった。
キャプラン氏は,「ソジョーンは,オーバーウォッチ 2のストーリーで非常に重要な役どころを演じる」とのことで,オーバーウォッチ解散後にどんな運命をたどったのか気になる。
また,昨年の「BlizzCon 2018」で公開されたマクリ―のトレイラー「REUNION」に登場したアンドロイドのエコー(Echo)も,本作では飛行可能なキャラクターとして大きな役割を担っている。Reunionでマクリ―は「呼ばれたのはオレだが,行くのはおまえだ」と話し,自分の代わりにエコーを新たなオーバーウォッチに送り込むが,「BlizzCon 2019」でも今のところマクリ―の消息は明らかになっておらず,彼が述べた「やり残したこと」が何なのかにも今後,スポットライトが当てられそうだ。
キャプラン氏によれば,「我々開発チームは,しばらく籠るね」と述べてパネルディスカッションを締めくくっており,「オーバーウォッチ 2」のローンチはかなり先のことになりそうだ。「World Cup 2019」のファイナルが「BlizzCon 2019」で開催されるなど,前作は現役バリバリ。eスポーツシーンに与える影響など,気になることも多いので,続報を楽しみにしたい。
2019-11-02 08:35:29Z
https://www.4gamer.net/games/484/G048450/20191102009/
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